「停滞感」の原因は、ビジネスモデルか?組織文化か?【概論#2】

あなたの会社に漂う“停滞感”、本当に原因はビジネスモデルだけですか?

「このままの事業を続けていても、10年後には確実に厳しくなる」

そんな未来が見えているのに、組織がまったく動こうとしない。
新たなチャレンジを呼びかけても、過去の成功体験や関係性の維持を理由に拒まれる。
その様子を見て、若手や中堅がひっそりと辞めていく。
――こんな空気、感じたことはありませんか?

時代も市場もものすごいスピードで変わっているのに、組織の内側だけが止まっている。

本当に変えるべきは、ビジネスモデルか?組織文化か?
今回は、そんな悩みの根底にある構造と、それを動かす鍵としての「アイデンティティ」について考えていきます。


📝この連載について

この連載「アイデンティティ経営概論」では
株式会社SASI代表・近藤清人が13年以上にわたり実践してきた「アイデンティティ経営」の考え方やノウハウを、あらためて言語化・体系化しながらお届けします。

SASIは、「日本の100年を、ひとりの気持ちから」というビジョンのもと、企業のアイデンティティに根ざした経営変革を支援してきたチームです。
経営者や組織が「自分たちらしさ」と向き合い、内側から変革を起こすこと。
その過程に徹底して伴走する姿勢を大切にしています。

▶SASI公式サイト

この連載では
アイデンティティ経営の“基本の「き」”から
その背景・効果・プロセス・活用法に至るまでを、毎月少しずつ丁寧に紐解いていきます。


1. 止まっているのは、ビジネスか、組織か?

ここからは、SASI代表・近藤清人の言葉で綴っていきます。

VUCA(予測不可能な世界)な状況が続いていると言われて久しい現在のビジネス環境。
自然現象や社会情勢といった外部環境が、当初の予測を超えて変わり続ける地殻変動のような時代です。
それにともなって、ビジネスもとてつもないスピード感をもって動いています。
かつては「10年一昔」と言われた時代もありましたが、いまや3年前の情報ですら、すでに古く感じるのではないでしょうか。


こうした状況にありながら、「事業はこのままでは縮小する」と分かっているにもかかわらず、
組織は硬直したままで、変化を避けようとする。そんな現実がよく見られます。

たとえば──
「このままの事業を続けていては、10年後の自社は確実に低迷していく。今こそ新たなチャレンジを」と、
新たなリーダーであるあなたが提案しても──
返ってくるのは、
「これまでこうやって会社は発展してきた。
支えてくれている関係各社を大切にすることが一番大切だ。
リスクのある新しい事業を、なぜ今やらなければならないのか?」
といったベテラン幹部の言葉。

その様子を見て、期待していた若手やミドル層が次々と離れていく――
こうした「組織文化の硬直化」に、悩まれているリーダーはとても多いと感じています。


2. 本当に動かすべきはどこなのか?

こうした状況において
「どうすれば組織を本当の意味で動かすことができるのか?」
手段として真っ先に思い浮かぶのは、マーケットリサーチかもしれません。

「新しい市場を見つけて、どれくらいの期待価値があるかを示せばいい」
そう考えて動き出す方も多いと思います。

しかし、仮にリサーチを完璧に整えたとしても──
「この市場に進出する場合、費用は?リターンは?
エビデンスや確実性はどれだけあるのか?」
そう問われた時、果たして現状で「確実に成果を上げられる」と言い切れるリサーチがあるでしょうか?


ここで問い直すべきは
「本当に変えなければならないのは、ビジネスモデルなのか? 組織文化なのか?」ということです。
実は、その両方です。
ただし、そこには順番があると私たちは考えています。


3. まず耕すべきは「組織文化」という土壌

硬直化した組織の中で、どんどん新規事業が立ち上がり、自由にチャレンジが繰り返される──
そんなことは現実には起こりません。

もし仮に説得して一度だけチャレンジできたとしても、
その挑戦が失敗すれば、次の機会は二度と得られないかもしれないのです。

だからこそ、重要なのは「まず土壌を耕すこと」。
すなわち、組織文化を変えていくことが最初の一歩になります。
そして、そこに必要なのがアイデンティティなのです。


堂々巡りのように聞こえるかもしれませんが、
組織文化を変えるには「新たな挑戦」が必要であり、
その挑戦が、組織文化を変えていくのです。

矛盾しているように感じられるかもしれませんが、そうではありません。
大切なのは、挑戦の“やり方”と“目的”の立て方です。


4. 挑戦の目的は「文化を耕すこと」

成功の秘訣の第一歩は、挑戦の“憲章たる目的”をきちんと定義すること。
ここで言う目的は、
「新たな収益源の獲得」「ポートフォリオ経営の実現」ではありません。
そうではなく、

我が社だからできる事業の再構築

ビジョン実現のためのネクストリーダー育成

といった、組織文化を耕すことそのものを目的とするのです。


その上で、前回の【概論#1】でもお伝えしたように、
「この会社はどうあるべきか?」からではなく、
「個人」のアイデンティティに立脚することが重要です。


5. 衝動から生まれる“覚悟”こそが未来を動かす

繰り返しになりますが、リーダー個人のアイデンティティの中には、
これまでの生き方の積み重ねがあり、会社の歴史や先代、創業者への想いがあります。

それらを自分の生き方と照らし合わせる中で、
「だからこそ、絶対にこの会社をこうしたい」という、
“衝動”にも似た強い気持ちが生まれてきます。

それは、期待価値や収益性といった「頭で考える戦略」も大切ですが、
心が動くかどうか――そこから生まれる覚悟のようなものです。


この「衝動」=「覚悟」を土台にしてこそ、

会社らしさの再構築を体現する

ネクストリーダーを育てる

といった取り組みが本質的に動き始めるのだと、私たちは考えています。

皆さんも、頭で行動するときと、
心の底から突き動かされて行動するときの“強度の差”を、感じたことがあるのではないでしょうか?

その差は、やがて結果の差として大きく現れてきます。


おわりに

次回は、この「文化を耕す挑戦」がもたらす具体的な効果や変化についてお話していきます。
本記事が、今まさに葛藤の中にいる方にとって、
何かしらの視点や気づきにつながれば幸いです。
次回以降も、アイデンティティ経営に関するテーマをひとつずつ紐解いていきます。
引き続き、どうぞよろしくお願いします。

※本記事内の挿絵として掲載している漫画は、SASIの会社案内に掲載している、実際にアイデンティティ経営に取り組んでいる会社のエピソードをもとに制作したものです。
漫画の全文は、こちらからご覧いただけます!

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