石窯ピッツァ&旬野菜のイタリアン アルナッジョ

山田辰尚さん

私は生駒市で「アルナッジョ」というレストランを営んでいます。
私は昔から「自分で仕事がしたい」と思っていました。
はっきりと覚えているのは、小学1年生のとき。
父と「将来何になりたい?」という話をしていたときに、
「公務員とかじゃなくて、自分で何かやったら?」と言ってもらい、
その言葉がしっくりきたんです。
「あ、それ、いいな」と思うようになりました。
大学に通いながら飲食店でアルバイトをしていたのですが、
そのうち「自分の店を持ちたい」と思うようになり、
大学を中退してフランス料理店に修行に入りました。
料理の腕を磨きながら働き、独立直前に務めていた店では、
雇われシェフでありながら自由に料理を考えて提供できるポジションでした。
その店は奈良にありましたが、オーナーが北海道に移住していて、
「これを使え」と送られてくる食材を料理に使っていました。
そのときに、「料理の味って、腕だけじゃなくて食材でもこんなに違うんだ」と気づき、
食材そのものに興味を持つようになりました。
2003年に独立し、「ナチュラレッツァ」という炭火焼イタリア料理というスタイルの店を開業しました。この「ナチュラレッツァ」は、今の社名にもなっています。
2007年には石窯ピッツァとカフェのお店というスタイルで『アルナッジョ』をオープンし、
その後さまざまな紆余曲折を経て、ナチュラレッツァは閉店しましたが、
ナチュラレッツァの良さも取り入れつつ、現在は旬野菜と石窯ピッツァを提供するお店として営業しています。

~ILBH受講のきっかけ~
生駒・鬼取町で自然農法をやっている農家さんとの出会いは大きくて。
その方の野菜を初めて食べたとき、「え、何これ…」って衝撃を受けたのを今でもはっきり覚えています。
循環する農業の話にもものすごく共感して、「この良さを、どうやってお客さんに伝えたらええんやろ」って本気で考えるようになりました。

そんなときに、その農家さんを含めた仲間とクラフトビールの構想も持ち上がって。
「自然と農業と発酵をつなぐような、面白いものができるんちゃうか」とワクワクしたんですが、実際に事業計画となると、どう進めて行くといいかよくわからず、そんな時に
2022年度の第1回ILBHの募集をたまたまみてすぐに応募しました。
このときは、「循環農業とクラフトビールを組み合わせた事業構想」でチャレンジしたんですが、伴走支援を通して、想定していた規模感では今のリソースでは難しいことを実感しました。それでも、ずっと心の中には「地域を巻き込んで、食材や背景にある物語を伝えたい」という想いがあり続けて。
じゃあ、自分がやりたいことをもっと言語化して、現実的に形にするにはどうしたらいいか、まず自分でできる範囲を想定しよう——そう考えて、
2023年度にILBHを受講しようと申し込んでいましたが、
店舗のスタッフ不足により、初回の授業に参加したきり通うことができませんでした。
そして2024年に改めて挑戦することを決めました。

最初の頃は、言いたいことも上手く言葉にできず、もどかしさもありましたが、ILBHを通じて、少しずつ形になっていった感覚があります。

ILBHを受講して特に印象に残っているのは、プラン編です。
1回目のセッションで、ペアの支援者である奥さんから「今日から伴走支援します」と言っていただき、続けて「どこを目指しますか?」「最終発表でどうなっていたいですか?」と尋ねられました。
そのとき、「アルナッジョでクラフトビールをやる」という自分の中にある漠然とした思いを、ちゃんと言葉にできるようになるんだろうか?と聞いたんです。
奥さんは「きっとできますよ」と返してくれて、さらに「上位を目指しましょう」「やるからには、入賞じゃなくて、優勝を目指しましょう」と言ってくれた。
私は「わかりました」と答えました。
この人は本気なんだと伝わってきて、その瞬間にスイッチが入りました。
そこからは、奥さんの怒涛の質問ラッシュ(笑)。でも、それが本当に面白かったんです。
「こういう質問をしてください」といったガイドラインもあるのですが、
文字だけを追っていても実感がわきにくい部分もあります。
それを奥さんは、僕が理解しやすいように言い換えてくれたり、
引き出しやすい質問の形に変えてくれたりしました。
言葉にならない思いがあって、5分、10分黙ってしまうときもあったのですが、
待ってくれました。本気で引き出そうとしてくれて、「これはどういうことなんだろう」と自分の心の奥や頭の中を自然に探っていけるよう導いてくれたんです。
講師の近藤さん(SASI)が「言葉にするまで時間がかかる」と話していたのも、
こういうことだったのかと今ではわかります。
最終発表では、自分の話す内容をまとめるだけで手一杯で、
大変な作業となるパワーポイントの資料は奥さんが全てひきうけてくださいました。
僕の性格をよくわかってくださっていたのだと思います。
人前で話すことに慣れていなかった僕のために、「画面を見て読むだけでいいように」と、スライドや台本まで丁寧に整えてくれました。

プラン編の最大の魅力は、自分1人でなく支援者とともに取り組むことだと改めて思います。「アイデンティティの掘り下げからプレゼンまでの工程を、支援者の奥さんと一緒に細かく取り組めたおかげで、ありがたいことに最優秀賞をいただくことができました。
まさか本当に最優秀賞をもらえるとは思っていなかったので、正直びっくりしました。
というのも、周りの方々の事業計画が本当にすごくて、僕はただただ見惚れていたくらいだったんです。」
今では広報7月号にクラフトビール事業のことも載ってしまったので(笑)、
それに向けてあわてず本格的に準備を進めているところです。

〜これから受講を検討されている方へ〜
もし、ILBHを受けようかどうか迷っている方がいるなら、少しでも興味が湧いた時点で、悩む前に「とりあえず行ってみる」ことをおすすめします。
私も、申し込みする際には、いろんなことを考えて躊躇していましたが、動かなければかわらない!と思ってエイヤーで申し込みしました。そうして、一歩踏み出せば、次のステップが見えてきた感じです。
ILBHを通して、自分自身のアイデンティティが言語化されていく感覚をぜひ味わって欲しいです!
本当に、心からおすすめできるプログラムです。

主催:生駒市
受託者:株式会社SASI
問い合わせ先:IKOMA LOCAL BUSINESS HUB事務局(株式会社SASI内)
TEL:0798-55-7579
MAIL:contact@sasi-d.com