生野金属・小西康晴さん─“さまざまな平面を美しい立体に”ミッションが、金属以外という新たな挑戦を後押しした【第3話/全3話】
この連載について
この連載「アイデンティティ経営のあゆみ」は、SASIとともに“アイデンティティ経営”(以後ID経営)に取り組む企業の、挑戦や葛藤、変革の道のりを描いた実践の記録です。
「ID経営って何?」という方はこちらの記事をご覧ください
前回のあらすじ
第2話では、社員の「やってみたい」という声からBtoC商品“コロン缶”が誕生し、自ら売る場所をつくる挑戦が始まりました。
パートから正社員になった社員の行動が共感を呼び、組織全体が動き出す瞬間が描かれました。
新たな挑戦、紙加工の事業へ
BtoC商品の挑戦をきっかけに、会社は少しずつ変わり始めました。
そんな中で生まれたのが、金属の技術を応用した紙加工の挑戦です。
小西さんは、その挑戦に向けて動き出した理由をこう語ってくれました。
今、金属容器カンカン作ってるって話をしたんですが、金属以外に紙の加工とかもしてて。缶を作る作り方で紙を立体成形できないかってトライしてるんです。
とはいえ、「缶屋が紙をやる」と社内にどう説明するか、悩みもあったそうです。
紙を新規事業の1つとしてやりたい気持ちはあったけど、社内で“なるほど”って思ってもらえるにはどう説明したらいいんだろうって。
その悩みを乗り越えるきっかけになったのが、デザイン経営プロジェクトで整理したミッションでした。
“さまざまな平面を美しい立体にして届ける会社”って定義ができたとき、紙がもう完全にそのミッションにブレてないやんって思えたんです。
その後の全体会議では、紙加工の事業を本格的に始めることを発表し、メンバーもすぐに受け入れてくれたといいます。

祖父の言葉と、ものづくりの原点
金属に限らず、さまざまな可能性に挑戦する背景には、小西さんの家族の言葉も影響しています。
ロボットの会社を立ち上げてから戻ってきたとき、祖父に“手ぶらで帰ってくるな”って言われたんです。
この言葉は、今でも小西さんの背中を押しています。
生野金属はもともと缶だけを作ってきたわけではなく、電子レンジや電気ポットのフレーム、家電の組み立てなどにも挑戦してきた歴史があります。
ベテラン社員が、今でも社内でその経験を伝えてくれているそうです。
過去のことを過去と置かずに、今のメンバーにも説明してもらって、そういう社内セミナーもやりましたね。

リーダーの変化と、これからの挑戦
かつての小西さんは、なんでも自分で旗を振って動いていました。
でも今は「自分が動くこと」だけではなく、仲間が動き出すきっかけをどうつくるかを大切にしています。
旗を掲げて『行くぞ!』っていうのも1つのリーダーだけど、今は“みんなにとってプラスになる方法ってなんだろう?”って考えるようになりました。
社員のやってみたい気持ちや、共感が連鎖する空気があるからこそ、新たな挑戦に踏み出せる。
そんな現場の雰囲気が、次のものづくりの進化を生んでいます。
最後に聞いた、小西さんの“人生のものさし”
インタビューの最後に、私たちはこんな問いを投げかけました。
「あなたにとって、人生のものさしとは?」
小西さんは、少し考えたあとにこう答えてくれました。
探求心を持って、自らが動くことで、人の心を動かす。
その言葉の奥には、これまでの挑戦、そしてこれからの挑戦に向き合う覚悟が見えました。

終わりに
この記事で描いたのは、ID経営の実践から見えた一部にすぎません。
生野金属さんは現在も、新しいチャレンジを続けています。
たとえば、紙という新たな素材でのプロダクト開発や、共感を軸にした提案文化の育成など。
これからも「気づきやアイデア」が循環する組織の進化を、SASIはそばで見守り、伴走し続けます。
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