豊開発・清水勇輝さん─”あそ部”がもたらした採用改革と自走型組織への変化―社内の「適切な壁」に向き合う経営者のリアル【第3話/全3話】
この連載について
この連載「アイデンティティ経営のあゆみ」は、SASIとともに“アイデンティティ経営”(以後ID経営)に取り組む企業の、挑戦や葛藤、変革の道のりを描いた実践の記録です。
「ID経営って何?」という方はこちらの記事をご覧ください
会社紹介

豊開発株式会社
山留め工事・基礎工事などの土木施工管理を担う建設会社。
地面の“下”からまちの未来を支えるプロとして、建設現場の基礎づくりを担っています。
創業者である父から会社を引き継ぎ、2018年に入社、2022年に代表取締役に就任した清水勇輝さんが率いる企業です。
同年、次の100年を見据えた持続可能な組織づくりを模索する中でSASIと出会い、近畿経済産業局主催のデザイン経営推進プログラムに参加。
ここからID経営の実践をスタートし、社員が自ら考え動く“自走型組織”を目指した挑戦を続けています。
豊開発ウェブサイトはこちら
「遊びを大事にする組織を作ろう」──“あそ部”誕生の背景
事業承継から数年。清水さんは、組織を「自走型」に変えるためには仕組みが必要だと感じていました。
それを形にしたのが、新部署「あそ部」です。

トップが自立自走型の人間になろうぜって言ったとて、その人たちのことなのでもうできないですよね。その人の性格ですし、人は変えられないというところも含めて。
自立自走っていうのを豊開発では、あそぶというふうに表現してて、
それを体現する組織部署として、チームとして『あそ部』というのを立ち上げました。
採用、広報、インナーブランディング、新しい取り組み。
これまで手が回りきらなかった領域を担い、会社の未来を開く役割を持つチームでした。
「採用が大きく変わった」──若い世代が会社に集まりはじめた

あそ部ができる前、採用活動はほとんど清水さんが1人で対応していました。
企業説明会、面接、入社手続き、定着フォローまで──忙しさで波が出る年もあったそうです。
きっかけとしては良かったんですけど、それ以外の業務をやってる中で、やっぱりそこは十分じゃなかった。
あそ部が動き出すと状況は変わります。
求職者や学生との接点が増え、応募数が大幅に増加。
直近やと20数名とか応募があって、大体採用自体は2名だとか3名っていうことはコンスタントにできています。
建設業界の採用難の中で、若い世代が豊開発に関心を持ってくれるようになったのは大きな成果でした。
「でも簡単じゃない」──組織の中に生まれた壁
社外からの注目が高まる一方で、社内からはこんな声も出てきました。
あそ部って何してんの?
新しいチームができることで期待も生まれる一方、「もっとこうしてほしい」という要望や認識のズレが起きます。
オペレーションでものすごくしんどいのはしんどいですよ。人のことも含めて業務のこともあるんで。
現場に寄り添い、相手の立場に立って話を聞きに行くことを大切にしながら、今も取り組みを続けているそうです。

今年は自分たちが向こうの方に『相手の靴を履く』じゃないですけど
相手の方に行って、向こうの方で話を聞く、それをしていくっていうことが重要なんじゃないかと思ってます。
あそ部メンバーも現場に行ったり、自分たちが出ていく、そういう動きをしていこうよっていうことは意識をしてます。
最後に聞いた、清水さんの“人生のものさし”
組織が動き出すと、これまで見えていなかった意見や課題が浮かび上がる。
ときに自分がボトルネックになっていると感じる瞬間もあるそうです。
本人たちは『何かしたい』みたいな思いとかが出てきている中で
僕が手が回らなかったりわからなかったりして止めてしまっている部分がある。
それを、1ヶ月に一回くらい、自分が一番できてないんちゃうかなって。
すごく感じます。
それでも清水さんは挑戦をやめません。

インタビューの最後に、私たちはこんな問いを投げかけました。
「あなたにとって、人生のものさしとは?」
悩んだら楽しい方、難しい方、緊張する方を選ぶ。
緊張がなくなったときに成長が止まったと理解すべき、という言葉があって、そやなと思ってます。
自分でストレッチして、難しい方とか、わくわくする方とか、ハードルが高くて緊張するみたいなシーンを、選択する。 もしくは意図的に作り出していくっていうことをする必要があるんじゃないかと。
そういう判断をするっていうのはもしかしたら自立自走なのかもしれないなと思います。
この価値観を胸に、見えない地盤を築くように、未来の豊開発を支える挑戦は続いています。
終わりに
この記事で描いたのは、ID経営の実践から見えた豊開発さんの一部のエピソードにすぎません。
現在も、あそ部の活動を通じて採用や広報の取り組みを磨き、社員が主体的に動ける組織づくりを続けています。
これからも、「自立自走型組織」の実現に向けた挑戦が進んでいきます。
SASIは、豊開発さんのそばで見守り、ともに伴走し続けます。
土木の世界を楽しく深掘り、新しい魅力を発信し続けている
あそ部公式noteはこちらから!
🎧 アイデンティティ経営ラジオ(旧DOOR radio)でさらに聴く
この記事の続きがアイデンティティ経営ラジオで聴けます!
ポッドキャストでは、記事に書ききれなかった裏話や葛藤、現場の空気感をそのままお届けしています。
